弊社では、2021年11月にレンタルスペースを2店舗開業させましたが2024年4月に撤退しました。
この記事では、レンタルスペース開業に至るまでの資金や実際の売上・利益など掲載していますので、これからレンタルスペースを始めたい事業者さんの参考に少しでもなれば幸いです。
実際に運営して感じたレンタルスペースのメリット・デメリット
メリット
- 少ない開業資金で始められる
- 人を雇えばほぼ自動で稼働する
開業までは部屋探しから家具集めなどやる事が多いですが、一度開業すればやることは清掃、備品補充、顧客対応ぐらいになります。清掃、備品補充に関しては清掃スタッフを雇えば全て任せる事が可能。
実際に、稼働して3ヶ月後の弊社がやることは顧客対応と売上管理ぐらいでした。
実働時間が少なく稼働してくれるという点では、時間が限られている人や副業で取り組む人にとって大きなメリットになります。
仕組み化に関しても特別難しいことは無いので、一度軌道に乗れば新しい店舗を増やし売上を拡大させていくのがレンタルスペースで稼ぐコツではないでしょうか。
デメリット
- 固定費がかかる
- 近隣から苦情リスクがある
- 窃盗、破損など被害リスクがある
当然ですが場所を借りているので、毎月「家賃・光熱費・通信費」等が発生します。
レンタルスペースは以下に固定費を抑えるかで損益分岐点が変わってくるので、家賃は出来るだけ安くしておきたい。弊社のスペースは共益費込みで家賃70,000円を超えていたので毎月の固定費を圧迫していました。
立地にもよりますが、やはり駅近で40,000円〜50,000円ほどの家賃を選ぶべきだと後悔しました。
弊社のレンタルスペースを利用していたお客さんの大半は20代の若い人たちです。大人数で集まるので、夜中に大声で叫んだりゴミを持って帰らずその辺りに捨てたりとモラルが無い人が少なからずいるので、近隣が苦情がくる場合もあります。
弊社のレンタルスペースに苦情は無かったのですが、部屋探しの段階ではそういったトラブルを懸念して部屋を貸してくれない大家さんが多かったです。
実際、弊社も借りれた部屋はマンションではなくビルの1室でした。
賃貸マンションを借りるとなるとかなりハードルが高いため、ビルで探すのが基本となるかと思います。
レンタルスペースを運営してみた感想
スペース運営を開始して2ヶ月後にはスタッフを雇い、ほぼ私たちが動くことなく運営していたので、限られた時間の中で取り組みたい、副業で片手間で何かを始めたい人にはスモールビジネスの一つとして良い選択肢だと感じました。
黒字化さえできれば店舗数を増やす事も考えていましたが、思った以上に売上が伸びず撤退目処を明確にせずズルズル続けてしまったのは反省しています。
ただ、レンタルスペースとは別にレンタルジムも並行で運営していたのですが、こちら黒字化し初期投資費も回収し、最終的にM&A売却に成功。
レンタルジムについて詳しく知りたい方は「レンタルジムを開業する方法【完全版】開業資金や失敗しない方法を解説」も合わせてご覧ください。
どちらも無人で部屋を時間貸しするサービスで取り組んできましたが、成功する上で共通する大事なポイントは以下2点になります。
- 好立地の場所で運営する
- 初期費用・固定費は出来るだけ少なく
どれだけ良いお部屋にしても人が来なければ意味がありません。
当然ですが、人が多い街で運営しないと売上は上がりません。当然、家賃は上がり競合も増えますが、それ以上に人がいるメリットの方が大きいです。人がいなければ何も始まりません。
また、家賃など出来るだけ固定費は低くする努力をしましょう。最初の契約時に家賃交渉は必ず行うべきです。月数千円下がるだけでも大きく収支に影響してきます。
清掃スタッフについて
弊社もメイン事業は広告運用やWEBコンサルティングですので、サブ事業として気軽に取り組むことができました。
スタッフは「ご近所ワーク」を使って人を募集してやり取り。時給は1,500円程度でお願いしていました。
コストを抑えるなら直接雇うのが良いのですが、途中でスタッフが辞めた場合でも再度募集をかければすぐに新しい清掃スタッフが見つかるのが利点だったのでサービスを介し雇っていました。
後悔があるなら撤退はもう少し早くするべきだと感じています。
レンタルスペース運営をしてみた実際の売上
1号店 | 2号店 | |
---|---|---|
予約件数 | 95 | 59 |
初期コスト | 640,400円 | 694,803円 |
売上高 | 731,514円 | 304,658円 |
手数料 | 227,150円 | 85,740円 |
管理費 | 862,820円 | 733,207円 |
収支 | 358,456円 | 514,289円 |
合計収支 | 998856円 | 1209089円 |
上記は、弊社が運営していたレンタルスペース2店舗分、2021年11月〜2024年3月までの2年5ヶ月分(29ヶ月)の収支です。
ほぼどちらも100万円ほどのマイナス収支となっています。
初期コストを差し引いたとしても1号店で、358,456円の赤字。毎月約12,360円の赤字で運営していた計算です。
2号店に関してはもっと酷く、514,289円の赤字。
基本、どちらの店舗も毎月赤字で年末年始の12月と1月で大きく稼いでくれており、単月最大売上は223,658円です。売上なので、利益は100,000円ほどになります。2号店に関しては年末年始の予約も満席にはならず、単月黒字化したのはたったの2回です。
プラットフォームの手数料が高い
主にお客さんやスペースマーケットやインスタベース経由がメインでしたが、手数料が30%〜35%も取られるので、手数料で売上が伸ばせなかった部分もあります。
とはいえ、自社で集客も難しくレンタルスペースを利用するお客さんは大体スペースマーケットやインスタベースから探しているので、SEO(MEO)やSNS集客よりスペースマーケットやインスタベース内で上位表示される事が売上を上げる肝でした。
レンタルスペース運営に失敗した原因
反省点は沢山ありますが、以下の3つが失敗した原因だと感じています。
- 初期コストをかけ過ぎた
- 家賃をもっと抑えるべきだった
- 早期撤退ラインを考えるべきだった
初期コストをかけ過ぎた
レンタルスペースは初期投資が少なく個人でも始めやすいスモールビジネスです。弊社に関しては、最初にかかる初期投資が膨らんだことが失敗した原因の1つでした。
初期費用として主に
- 賃貸の敷金・礼金・初月家賃
- 火災保険・賃貸保証
- 家具・備品・配送料
どちらも店舗もざっくり60〜70万円ほどかかっています。家具や備品など新品に拘り過ぎました。
費用を抑えるならリユースショップやフリマサービスで中古品で揃えるべきでしょう。理想としては、初期費用は全て含んで30万円には抑えたい所ですね。最初に初期投資が嵩むと回収までの期間が伸びてしまいます。
事業計画を練っていない自分が悪いですが、運営開始して1年〜最低でも2年で回収できる計画プランを立てるべきでした。
計画性のなさがこのような失敗になりました。
家賃をもっと抑えるべきだった
レンタルスペースは毎月の売上のアッパーはある程度決まっています。
仮に24時間稼働のレンタルスペースで毎日12時間の予約が入った場合。利用料1時間1,500円と換算して
1,500円 x 12(時間) x 30(日)= 540,000円
ほぼあり得ない売上ですが、毎日これだけお客さんが入れば月540,000円の売上が見込めますが、これ以上の売上は現実的に見込めません。この金額も現実的ではありませんが、この540,000円が売上のアッパーです。
つまり、レンタルスペースで月100万円以上の収益を出すには店舗数を増やすしかありません。
もう少し現実的なラインで計算してみましょう。
1,500円 x 6(時間) x 30(日)= 270,000円
まだこちらの方が現実的なラインですね。売上の上限がある程度、決まっているので固定費は出来るだけ下げないと利益率が大きく下がります。
弊社のレンタルスペースは共益費込みで70,000円を超えていたので固定費が大きく売上が出ても中々黒字にはなれませんでした。
家賃は安ければ安い方が良いですが、最低でも4人以上は入れる部、駅近で40,000円〜50,000円ほどの家賃を選ぶべきです。
早期撤退ラインを考えるべきだった
事業を行う上で、事業計画を作り損益分岐点や撤退ラインを事前に考えておくのが当たり前ですが、弊社は何も計画性がなく、市場価値が高まっているという理由だけで参入した結果、失敗に終わりました。
事業計画を立てた上で、撤退ラインはしっかり考えておきましょう。
弊社は赤字でありながら2年4ヶ月も運営を続けてきたことで、トータル約200万円も赤字を負っていますが、撤退ラインをもっと早めにしておけば軽傷で済んでいたはずです。
レンタルスペースで稼ぐ上でのまとめ
赤字事業の事を書くのが疲れてきたので、この辺りでまとめに入ります。もっと話せる内容はありますが、自分で書きながら「計画性の無いやつだな」と客観的に思ってしまい心が折れかけています。
最後に、レンタルスペース事業で失敗した弊社が思う重要なポイントをまとめます。
- 立地が重要
- 家賃は安く
- 近隣トラブルに注意
副業やサブ事業として始めやすいレンタルスペースですが、弊社の様に稼げず撤退した事業者もいる事も覚えておいてください。
リスクは低い事業ですので、撤退ラインも最初に決めておけば致命傷にはなりません。